なぜ虫歯ができるのか? 虫歯にならないためには? 虫歯のしくみ・原理・対策方法を解説

虫歯は多くの人が一度は経験する歯のトラブルですが、どのようにして虫歯は発生するのかご存知ですか?

この記事では虫歯のしくみを、5秒でわかる簡単な解説+詳細な解説で紹介し、その具体的な対策方法についても解説していきます。

目次

どうして虫歯はできる? 簡単に解説

どうして虫歯ができるの?

バクテリアが糖分と反応して酸を生成し、その酸が歯を溶かすからです。

どうして虫歯はできる? 詳細に解説

虫歯の主な原因は、食べ物の糖分をエネルギーとして利用するバクテリアの活動によります。以下で詳しく解説していきます。

バクテリアと糖分の関係

私たちの口腔内は、実に数百種類のバクテリアが生息しています。この中で特に注目されるのが「ミュータンス菌」というバクテリアです。このバクテリアは、我々が食事から摂取する糖分を餌として利用します。

ミュータンス菌が糖分と接触すると、酸を生成します。この酸が歯のエナメル質を攻撃し、次第にその硬さを失わせることで歯が弱くなります。長期間にわたりこの状態が続くと、エナメル質が脱灰され、虫歯の初期症状である白斑が現れるようになります。

さらに、摂取する糖分の量や摂取頻度、そして口腔内の環境によって、ミュータンス菌の活動はさらに促進されることがあります。

虫歯における脱灰(だっかい)とは、酸によって歯の表面からカルシウムが溶け出し、歯が弱くなることです。

こうやって虫歯のリスクが高まっていくんだね。

酸の影響と歯の構造

引用:ライオン歯科衛生研究所 歯と歯周組織の構造 https://www.lion-dent-health.or.jp/labo/article/knowledge/01.htm 2023/09/28

歯は外側からエナメル質、象牙質、歯髄という三つの層から成り立っています。このうち、エナメル質は人体で最も硬い部分として知られていますが、酸には弱いです。

ミュータンス菌が生成する酸は、エナメル質のミネラル成分を溶解させる能力があります。この酸の作用によってエナメル質が次第に溶かされると、その下にある象牙質が露出します。象牙質はエナメル質よりも柔らかく、酸に対してより脆弱です。したがって、一度エナメル質が損なわれてしまうと、虫歯はより速やかに進行します。

象牙質がさらに酸によって溶かされると、さらにその下の歯髄が影響を受ける恐れが出てきます。歯髄には神経や血管が存在しており、ここが侵されると痛みを伴うことが一般的です。

この状態が続くと、根の部分への感染や歯周病を引き起こすリスクも増加します。

食後の口内環境

食事をとると、口の中には食べ物の残りかすや糖分が残ります。これらの食材は、口腔内のバクテリアのエネルギー源となり、特にミュータンス菌などの虫歯を引き起こすバクテリアが活発に増殖します。

食後の口内は、通常よりもpH値が低下して酸性に傾くことが一般的です。これはミュータンス菌が糖分を分解する過程で酸を生成するためです。この酸性の環境は、エナメル質の脱灰を促進し、虫歯のリスクを増加させます。

加えて、食後は唾液の分泌が促進されますが、唾液は口腔内を中和し、歯の再石灰化を助ける役割を持っています。しかし、食事の内容や食べ方によっては、十分な唾液が分泌されないこともあります。このため、食後の口腔ケアや十分な水分摂取が虫歯予防には欠かせません。

唾液の役割

唾液は、口腔健康を維持するための非常に重要な役割を果たしています。

毎日およそ500mlから1Lもの唾液が分泌されてるんだって!

まず、唾液は口腔内を洗浄する働きを持っており、食べ物の残りかすやバクテリアを流し去ります。これによって、ミュータンス菌などの虫歯の原因となるバクテリアの増殖を抑制する助けとなります。

さらに、唾液はpH調整の役割も果たしています。食後や糖分の摂取時に酸性に傾いた口腔環境を中和し、歯の表面のミネラルを保護します。これは、エナメル質の再石灰化を助け、脱灰の防止に寄与します。

また、唾液中にはバクテリアの増殖を抑制する抗菌成分や酵素も含まれており、これらが口腔内の微生物のバランスを維持するのを助けています。

唾液の適切な分泌がないと、虫歯や歯肉炎のリスクが高まるため、常に適切な水分摂取や口腔ケアを心掛けることが重要です。

虫歯にならないためには

日々の丁寧なブラッシングは必須として、他に役に立つ情報をピックアップしました。

フロスや歯間ブラシの利用

日常の歯磨きでは届きにくい歯と歯の間のスペースは、食べ物の残りかすやバクテリアが溜まりやすい部分となります。このような部分を清潔に保つためには、フロスや歯間ブラシの使用が非常に効果的です。

フロスは、特に歯の隙間が狭い場所に適しています。正しい使い方を身につけることで、歯茎を傷つけることなく、効果的に汚れを取り除くことができます。フロスを使用する際は、歯の両側の面をしっかりとこすり、食べ物の残りかすや歯垢をしっかり取り除くことがポイントとなります。

一方、歯間ブラシは、歯の隙間が広い、またはブリッジや矯正器具を装着している場合に特に効果的です。歯間ブラシは、さまざまな太さがありますので、自分の口腔内の状態に合わせて選択することが重要です。歯間ブラシの使用時には、優しく歯と歯の間に挿入し、前後に動かすことで汚れを取り除きます。

フロスや歯間ブラシの使用は、日常のオーラルケアルーチンの中で欠かせないステップとなります。これらのツールを適切に使用することで、虫歯や歯肉炎のリスクを大幅に低減することができます。

歯医者さんで歯磨きをしてもらうときも、フロスの出番があるよね。

定期的な歯医者さんの受診

口腔の健康を維持するためには、日常のオーラルケアだけでなく、定期的な歯医者さんの受診も非常に重要です。専門家のチェックを受けることで、初期の虫歯や歯肉炎を早期に発見し、予防・対策することができます。

歯医者さんに受診する際の主な目的は、クリーニングと検診です。クリーニングでは、普段の歯磨きでは取り除けない硬化した歯垢や歯石を専用の器具で除去します。これにより、歯肉炎や虫歯のリスクが低減します。

また、定期検診では、レントゲン撮影を行い、歯や歯根、顎の骨の状態を詳細に確認します。これにより、見えない場所の虫歯や歯根腐食、骨の吸収などの問題を早期に発見することができます。

一般的に、6ヶ月に1回の受診が推奨されていますが、個人の口腔の状態やリスク要因に応じて、受診の頻度を調整することが必要です。歯医者さんとの定期的なコンタクトを保つことで、口腔の健康を長期にわたって維持することが可能となります。

バランスの良い食生活

虫歯予防のためには、単に砂糖の摂取を控えるだけでなく、バランスの良い食生活を心掛けることが重要です。食事のバランスが乱れると、歯や歯肉に必要な栄養素が不足してしまい、虫歯や歯肉炎のリスクが高まります。

たとえば、カルシウムは歯や骨を形成する主要なミネラルであり、乳製品や緑黄色野菜、小魚などから摂取することができます。フッ素は、歯のエナメル質を強化し、脱灰を予防する効果があるため、フッ素を含む食材や水を適度に摂取することが望ましいです。

さらに、ビタミンCは歯肉の健康を維持するために必要な栄養素であり、柑橘類や野菜から豊富に摂取することができます。ビタミンDもまた、カルシウムの吸収を助ける役割があり、日光浴やサプリメントから取り入れることが推奨されます。

このように、食事からバランスよく栄養を摂取することで、歯や歯肉の健康をサポートし、虫歯のリスクを低減することができます。食事の質や量だけでなく、食事のタイミングや間食の習慣も考慮に入れることが大切です。

生活習慣から見直すことが必要なんだね。

食後のデザート選び

食後のデザートは多くの人にとって楽しみの一つですが、選び方によっては虫歯のリスクを増加させる可能性があります。適切なデザートの選び方を理解することは、虫歯予防に大いに役立ちます。

高い糖分を含むデザートは、口腔内のバクテリアにとって絶好のエネルギー源となり、酸を生成する原因となります。この酸は歯のエナメル質を侵すことで、虫歯を引き起こす可能性が高まります。

一方、果物やヨーグルトなどの自然な甘みを持つデザートは、砂糖を多く含むものよりも健康的な選択となります。ただし、柑橘類や果物ジュースは酸性が強いため、摂取後の歯磨きや水での口すすぎをおすすめします。

また、ダークチョコレートやカカオを多く含むチョコレートは、砂糖の含有量が低く、口腔内のpHを中和する成分も含まれています。これらは、適量を守ることで比較的安心して楽しむことができるデザートの選択肢と言えます。

最後に、食後のデザートを摂取した後は、水や無糖のお茶で口をすすぐ、できれば歯を磨くことで、残った糖分や食べ物の残りかすを除去し、虫歯のリスクを低減させることができます。


以上、虫歯のしくみ・原理とその対策でした!

(参考:ライオン歯科衛生研究所 歯と歯周組織の構造 https://www.lion-dent-health.or.jp/labo/article/knowledge/01.htm 2023/09/28,日本訪問歯科協会 チョコレートでむし歯予防!? https://www.houmonshika.org/oralcare/c132/)

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